一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、5月27日に記者発表会をオンラインで開催し、約40名のプレス関係者にご参加いただきました。
記者発表会では、冒頭、相子宏之理事長があいさつ。このあと去年12月に、BSデジタル20周年、新4K8K衛星放送2周年を迎えるにあたって、11月にNHKとBS民放5社が共同で行った「新4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン」の第2弾が、今年も5月から6月にかけて行われることになり、その取り組みと共同制作の番組等が紹介されました。
このあと、新4K8K衛星放送視聴可能機器台数(4月末締め)や電波漏洩対策補助事業について、A-PABからの報告が行われました。
まず、A-PABを代表して、相子宏之理事長が次のように挨拶しました。
A-PAB 相子宏之理事長挨拶
『日頃より、A-PABの活動にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。また、本日の記者発表会は昨年11月20日以来となります。前回のNHKとBS民放5社の「新4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン 」は、NHK・民放共通の番組やPRスポットを制作、放送するという、あまり例のないキャンペーンを12月に展開していただきました。その効果もあり、 新4K8K衛星放送視聴可能機器台数の普及におきまして、12月単月で、過去最高の伸びとなりました。今年に入りましても、お陰様で比較的順調に推移しており、4月末現在で、約861万台の普及となっております。
本日は、その好評をいただいたNHK、BS民放5社の「新4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン」第2弾が、5月から6月に展開されることになりましたので、こちらもご紹介させていただきます。
A-PABの調査によりますと、新4K8K衛星放送への満足度は大変高いものとなっております。NHKをはじめ、各局の努力により、4K8Kコンテンツも増えてきております。また、3月には、WOWOWも、4K放送を開始しております。
こうしたコンテンツ・サービスを、視聴者の皆様にしっかりと周知広報し、新4K8K衛星放送をより多くの方に楽しんでいただけるよう、A-PABとして活動してまいりますので、今後とも、ご支援、ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。』
続いて、BS編成担当者会議の主査で、ビーエスフジの荒井昭博常務取締役が、「新4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン」の第2弾の取り組みについて紹介しました。
新4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン 第2弾
『おかげさまで、この6月1日で新4K8K衛星放送も開始2年半を迎え、NHKと民放5局で6月を盛り上げるキャンペーンを実施。2年半が経ち、われわれも4K8K番組の制作のしかたを会得してきた。たとえば、撮影現場のライトだが、4K8Kでは少ないライトで撮影ができ、「自然な美しさ」を表現できるようになった。美しい女優さんたちの「素の美しさ」を伝えられるようになった。
また、「ブルー」が美しくなり、青空の色でいえば、これまでは単に「青い」という表現だったのが、実は肉眼で見たら「エメラルド・グリーン」だったりしていた。これを肉眼で見ているような自然に近い色で高度に表現できるようになった。
さらにもう一点、「黒の美しさ」が挙げられる。これまでは黒がつぶれてしまうことが多かった。たとえば昼間のサッカー場でスタンドの屋根の影になる部分があると映像が一瞬消えてしまうことがあったが、4K8Kだと消えることなく選手の動き、ボールの動きが見えるようになった。
先日放送されたNHK「スパイの妻」でも、全体的に暗めの表現のなかで、黒のなかの黒がしっかり見える、ということがおわかりいただけたと思う。人間の目に近い色域表現ができることが4K8Kのすばらしさである。
そして、フィルムのテレビ化も4K8Kのすばらしさの一つである。アナログの線的な無限の情報量をなかなかデジタルで表現できなかったが、4K8Kの情報量で、本来持っているフィルムの良さを表現することが可能になった。そのため、各局、映画にも力を入れるようになっている。』
『NHK、BS民放5社が共同で制作した15分番組は、すでに放送され始めているが、4K8Kのすばらしさを表現している。NHKとBS民放5社が一緒に番組を制作するというのはめったにないことだ。
多々、番組制作における「文化の違い」もあった。たとえばエンドタイトルで「制作」か「製作」か。時刻の表記も「20時」「夜8時」「よる8時」「午後8時」など局によってルールが異なる。
番組を見るときには、4K8Kのすばらしさを堪能するついでに、こういったことも楽しんで共同制作番組をご覧いただきたい。』
この後、オンラインで約15分のNHK・BS民放5社の共同番組を流しました。
『今回の共同キャンペーンは2度目になるが、今回の番組でチャレンジしたのは、「スポーツのよさ」である。7月には、東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されている中で、4K8Kでスポーツのすばらしさをいかに表現できるかを1つのテーマにした。細かい部分が見えるということのほかに、「臨場感」が重要。コロナ禍でオリンピックが無観客になるかもしれない中で、視聴者のみなさまがテレビで観戦しても、その雰囲気を伝えられるよう、英知を結集して「製作」した。
各局のみどころについては、それぞれの担当者より説明してもらうのでお聴きいただきたい。』
4月までの新4K8K衛星放送視聴可能機器台数と解説
続いて、A-PABの木村政孝理事が4月末までの新4K8K衛星放送視聴可能機器台数について説明しました。
『新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数の2021年4月分についてご報告したい。4月は32万2千台。昨年同月比では、1.5倍の高い伸びを継続。これを牽引しているのは新チューナー内蔵テレビで、全体の3/4を占める。そして、4月末までの累計台数は861万台。目標の一里塚である「1,000万台」に着々と進むことが出来ているのではないかと認識している。
好調に推移している要因は三つ挙げられる。
一つ目は、アナログ放送終了時に購入されたテレビが10年を過ぎ買替時期を迎えていること。2008~2011年の4年間で6,857万台が出荷され、買替の時期を迎えている。
二つ目は、「もっと大きな画面で視聴をしたい」というユーザーのマインドが強くなっていること。4月の薄型テレビ全体のサイズ別構成比では、40型以上が全体の約2/3を占めている。もうひとつは、「今後を考えて”新4K8K衛星放送”に対応したテレビを購入しよう」という思いが皆様強いと感じる。
三つ目は、新チューナー内蔵テレビへの参入メーカーが14社に増えて商品が充実してきたということ。商品の多機能化により選択肢が増え、また一方で低価格化も進んでいる。それがお客様の購入を後押ししていると言える。
特に、最近目立つ動きは、ワンランク上のモデルと言われている有機ELテレビが好調ということ。4月は新チューナー内蔵テレビの全体の2割を占め、前年同月比では2.7倍の伸びとなっていることは注目に値する。
最後に、東京オリンピック・パラリンピックに向けて1,000万台は達成出来るのかについてだが、開催前の7月までの3カ月では、47万台/月ペースが必要となりかなり厳しいが、開催期間中の8月までの4カ月では、35万台/月ペースとなり、決して楽な道のりではないが、何とか達成出来ると考えている。』
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2021年度 衛星放送用受信環境整備事業について
最後に、A-PABの宇佐美雄司4K8K推進センター長が、2021年度衛星放送用受信環境整備事業について説明しました。
『まずは、電波漏洩対策とは何か?を改めて説明する。新4K8K衛星放送の左旋の電波は、Wi-Fiや電子レンジと同じ周波数帯を利用。このため同軸ケーブルが露出している機器等があると、新4K8K衛星放送と他の無線機器は相互に干渉してしまう。同軸ケーブルが露出している増幅器、分配器、テレビ端子、テレビプラグ、分波器などの古いタイプの機器が影響を与えたり受けたりしてしまう。無線設備規則では「技術基準」が定められており、これを守っていくことが「電波漏洩対策」。
この対策を事前に行うために、国が改修経費の一部を助成する制度が「電波漏洩対策助成金制度」だ。2018年度から始まり、これまで約7万9千世帯で対策を実施し、新4K8K衛星放送の受信インフラの普及に貢献してきた。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リアルでの講習会を開催することは困難だったため、制度概要や具体的な申請方法などを解説したわかりやすい動画を12本制作。また、マンションの管理会社にも見て頂ける動画をYouTubeにUP。ぜひ、A-PABのホームページやこれらの動画を活用して、新4K8Kの受信設備導入に際して、この制度をご活用頂ければと思う。
最後に相談窓口をご紹介。電波漏洩対策、助成金制度、具体的にどれくらいの金額がもらえるのかなどは電波漏洩コールセンター0570-048-068までお問合せください。ナビダイヤルで、全国どこからでも市内通話料金で相談可能。この助成金制度は、今年度で最後となるので、ぜひ、この制度へ申請をご検討ください。』
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以上で、記者発表会は終了しました。