一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、9月4日(木)に「4K8K衛星放送視聴可能機器台数2,000万台突破 A-PAB記者発表会」をベルサール六本木グランドコンファレンスセンター ROOM Cで開催しました。会場には約40名のプレス関係者が来場し、熱気に満ちた記者発表会となりました。
以下、発表会の概要をご報告します。
冒頭、主催者を代表してA-PAB加増良弘理事長が次のように挨拶と発表を行った。
「私共 A-PAB(一般社団法人 放送サービス高度化推進協会)は、NHK、すべての地上民放、BS民放、広告会社、テレビ受信機メーカーなどの279社、テレビをめぐるステークホルダーがほとんど参加し、総務省と共にテレビ産業の後押しをしている団体だが、その業務の大きな柱の一つが、4K8K衛星放送の普及推進だ。
今年の7月末までに4K8K衛星放送の視聴可能機器台数が累計2,020万台を突破し、およそ2,028万台となった。4K8K衛星放送が始まったのが、2018年12月1日。2,000日かけて2,000万台、一日1万台、みなさまに4Kテレビあるいは4Kチューナー内蔵機器を購入・設置いただいたことになる。それとともに、4K8K衛星放送の魅力を広げるため、メーカーのテレビ受信機やアンテナなど関連機器の開発と販売、放送事業者の関係者みなさまのご尽力そして視聴者のみなさまの厚い支持があり、ここまで台数が伸びたものと思う。
2,000万台突破というのは、テレビ放送の新しいおもしろさを体験できる世界が順調に広がっている証しであると思う。今後は、新しい4Kの放送事業者も加わる。そして、2026年には4K8Kの映像の美しさ・迫力が際立つスポーツイベント、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックとサッカーのワールドカップ、2028年には、ロサンゼルス夏季オリンピックも控えている。特に、ロサンゼルスオリンピックでは、野球が追加競技のひとつとして承認され、今や世界的スーパースターとなった大谷翔平選手の所属するロサンゼルス・ドジャースの地元で開催されるオリンピックは大変な盛り上がりになると思う。
私共としては、2028年ロス・オリンピック パラリンピック開催の頃に、視聴可能台数が4,000万台を突破できるよう、普及につとめていきたい。そのご支援をメディアの皆様にいただきたく、改めてお願い申し上げる。」
続いて、A-PAB江頭孝之常務理事がA-PABの4K8K衛星放送広報施策について紹介した。
「A-PABでは、4K8K衛星放送開始1年前から深田恭子さんを4K8K推進キャラクターに起用し、放送事業者や家電販売店の皆様のご協力のもと、テレビスポットやポスター、リーフレットなどで大きな展開を行った。深田恭子さんには2年間にわたり4K8K衛星放送の訴求にお力添えをいただいた。
マスに向けた展開以外にも、私共は様々な広報活動を行っている。ホームページに毎月掲載している放送局をまたいだおすすめ番組を紹介している「番組ガイド」や、国際的な大型スポーツイベントの際に制作する「4K8K衛星放送予定」などに加えて、4K8K衛星放送の視聴方法やマンション管理会社・マンション管理組合向けのテレビ共聴設備の計画修繕工事についての動画などを公式YouTubeチャンネルで公開している。
コンテンツ訴求の点では、NHKとBS民放5社による「4K8K衛星放送で見ようよ!キャンペーン」の広報協力に加えて、今年はA-PABとして初めて「4K番組アワード」を開催し、会員社27社から合計73作品のエントリーをいただいた。また、先進映像協会日本部会との連携で「ルミエール・ジャパン・アワード」の4K部門8K部門の共催を行うことで4K制作環境向上のための支援とさせていただいている。
およそ2年間2,000万台を超えた4K8K視聴可能機器だが、機器をお持ちでもまだまだ4Kボタンを押して実際に番組を体験されていない方も多いと聞く。親しみやすいキャラクター「ヨンハチさん」に活躍してもらい、幅広い世代の皆様に実際に4K8K衛星放送に触れていただくきっかけになればと思っている。プレスの皆様におかれても、ぜひともヨンハチさんにもスポットを当てて取り上げていただき、4K8K放送の普及、そして加増理事長の申し上げた「ロスオリンピックのころに4,000万台突破」という大きな目標にお力添えを頂戴いただければ幸いだ。」
続いて、NHKコンテンツ戦略局企画管理センター下要専任部長がNHKの取り組みについて紹介した。
「NHK では、昨年12月にBSの再編を行い、NHKの衛星放送は、2KのNHK BS、4KのNHKBSプレミアム4K、BS8Kの3つのチャンネルとなった。現在、「すぐそこの別世界!NHK BS4K・BS8K」キャンペーンを実施しており、高精細映像ならではの臨場感を生かして、見ごたえある番組の充実と4K8K視聴方法の周知に取り組んでいる。
今後のおすすめ番組を2つ紹介する。猫の姿がとにかくかわいらしい「岩合光昭の世界ネコ歩き 4Kスペシャル」、こちらは美しい景色と猫に癒される番組だ。そして、「行くぞ!最果て!秘境×鉄道 ~ガボン・トランスガボン鉄道~」。手つかずの広大なジャングルを走る、驚きがいっぱいの鉄道旅となっている。どちらの番組も4Kの高精細の圧倒的な映像が満載だ。」
続いて、BS編成担当者会議主査でもある株式会社ビーエスフジ荒井昭博常務取締役がBS民放5社の取り組みについて説明した。
「まずBS放送についてご紹介したい。現在は地上波とは明確に差別化されてきている。地上波では放送されなくなってきた野球をはじめとするスポーツ、時代劇、良質な紀行番組、長時間の報道討論番組といったBSならではの番組の価値が明確になっている。その中で、それぞれの番組が4K化されている。例えば、先日のパリオリンピックは4K放送ならではの高精細で汗ひとつとっても臨場感があった。4Kは黒に強いのでナイター中継ではより明確に映っていた。時間の制約無く試合の最後まで放送出来るなどBSの利点を活かしたパリオリンピックの放送は大変好評だった。
また、時代劇ではローソクの炎が非常にはっきり映る。討論番組については「4Kで放送する必要はあるのか」と思うかたもいるかもしれないが、例えば BSフジの「プライムニュース」でいうと反町キャスターは興奮すると目が赤くなってくるが、4Kだとそれが明確に映ることで番組に迫力が生まれる。
NHKと民放が組むというのもA-PABという団体があってこそ。「ロサンゼルスオリンピック・パラリンピックの頃に4,000万台」という目標に向けて、力を合わせて頑張っていきたい。」
続いて、総務省 情報流通行政局 豊嶋基暢 局長にご挨拶をいただいた。
「4K8K衛星放送の発展に取り組んでいただきました数々の皆様方に改めて御礼を申し上げたいと思います。広範な、かつ弛まぬ努力が無ければ成しえなかったことだと思います。その中でまさに陣頭に立っていただきました(一社)放送サービス高度化推進協会をはじめまして、視聴者に訴えるコンテンツを放送・制作していただきました放送事業者のみなさま、安定供給を果たしてくださいました衛星事業者の皆様、そして多彩な受信機を世に送り出していただきましたメーカーの皆様、そしてその受信機の販売やサービスの展開を担っていただきました皆様、まだまだ関係者はたくさんいらっしゃいますが、各方面の皆様方のご尽力に改めて深く敬意を表したいと存じます。
4K8Kの視聴の魅力については、最近のなかで一番実感できたのは、パリオリンピックの体験ではないかと思います。4K8K衛星放送で観戦された方々は、アスリートの方々の競技の様子、息遣い、会場の興奮・熱狂、勝負の緊張感高まる名試合、多くのシーンがありましたが、熱戦の余韻まで伝わってくる4K8K衛星放送のひとつの魅力である臨場感あふれる視聴体験ができたのではないかと思います。
総務省では昨年の11月に、BSで4K放送を行う放送事業者に対して業務の認定を新たに行いました。これにより、4Kコンテンツがさらに充実をして、4K8K衛星放送を視聴できる機器のさらなる普及、視聴者の皆さまの満足度がさらに向上するものと期待しております。視聴環境のさらなる拡大を図るためには、私ども総務省も含めまして4K8K衛星放送に関わる皆様方がビジョンを共有しながらそれぞれの取り組みをいかに有機的に連動させながら取り組んでいくことが不可欠だと思います。さらに高みを目指すために活発な意見交換を通じまして、課題があれば課題解決のための知恵を出し合える環境を作りながら、4K8K衛星放送のさらなる普及に向けて取り組んでまいります。」
続いては、4K・8K推進キャラクターヨンハチさんとA-PAB加増理事長とのトークセッションのコーナーへ。ユーモラスなやり取りの中にも「2,000万台突破」の喜びと、次の目標である「ロサンゼルスオリンピック パラリンピックの頃に4,000万台」に向けた意気込みが伝わって来るセッションに来場したプレス関係者からも熱い注目が集まった。
質疑応答のコーナーでは、5人のプレス関係者から質問があり、以下のようなやり取りがあった。
「4Kコンテンツを充実させるために、A-PABとしてどのような施策を行っていくつもりか」を尋ねられたA-PAB加増理事長は「4Kコンテンツを制作するのは各放送局なのでそれぞれ頑張っていただくとして、我々はそのための機運を高めていきたい。NHKと民放5社のキャンペーン、BS右旋で新たに4K放送を開始する3社、WOWOW、日本ケーブルテレビ連盟などとの連携で盛り上げていきたい」と答えた。
「昨年12月から、NHK BS とNHK BSP4Kの2波になったが、9か月間放送して、現時点でNHKの中ではどのような評価となっているか」と尋ねられたNHK下専任部長は「当初は番組の放送枠がどこへ移動するのか、続いて、4Kの見方がわからないという問い合わせが多かった。現在では、再編前と比べてBSP4Kがよく見られるようになり、3月からはMLBが開幕したが大谷選手の活躍もあってNHKBSも再編前よりよく見られるようになった」と答えた。
「今後、NHKと民放5社で行う企画についてどんなことを考えているか、可能な範囲で教えて欲しい」と尋ねられた株式会社ビーエスフジ荒井常務は「NHKと民放5社が連携出来るのはA-PABという団体があってのこと。これまでもNHKのチコちゃんが民放に登場するということがあったが、今後は逆のパターンがあっても良いし、「ヨンハチさん」というキャラクターを同時に放送するとか、同じコンテンツを共有するとか、NHKと民放の垣根を越えた取り組みで4Kを訴求していきたい。毎年夏と冬の2回キャンペーンを実施しているが、次の年末に向けて新しいキャンペーンを企画中だ。是非楽しみにしていただきたい」と答えた。
「視聴可能機器台数は2,000万台を突破し毎年増えてきたが、2023年は2022年と比べると減少した。地デジ買換え需要が一段落したのではないか。このような直近のマイナスはどのようにみているか。」と尋ねられたA-PAB加増理事長は「コロナ後に買換えられた方々の落ち込みがあったが、(プラスマイナスの)デコボコがありつつも、パリオリンピックが7月末から開催され順調に伸びてきており、この先も右肩上がりで推移していくとみている」と答えた。
「民放のピュア4K比率について、現状と今後の比率の拡大の可能性を尋ねられた株式会社ビーエスフジ荒井常務は「現在、ピュア4K比率は約30%で、年末年始には1日に80%に達することもあるが、平均的には5局とも30%前後にとどまっている。しかし、2,000万台を突破したことでメディアの影響力が増し、今後さらに普及が進めば、ピュア4K比率も増加すると考えている。また、これまで15%、18%、20%、25%、30%と着実に伸びている。今後の状況次第で変わる可能性はあると思っている。」と答えた。
「4K8K衛星放送の放送開始から5年8か月で2,000万台突破が想定より早いか遅いか、またその大きな要因は何か。」を尋ねられたA-PAB加増理事長は「以前はパリオリンピックの時点で2,500万台を目標としていた。当時を知る方もいらっしゃるでしょうが、放送開始直後の期待から、その目標はやや高めに設定されたかもしれない。現在では、全世帯の3割から3割5分を占めている。2,000万台という数字は決して悪くなく、今後もさらなる伸長の余地があると考えている。」と答えた。
最後に、「祝4K8K衛星放送視聴可能機器台数2,000万台突破!」のパネルを掲げた、
ヨンハチさんとA-PAB 加増良弘理事長の行い、記者発表会は盛況のうちに終了した。