11月12日A-PABは「新4K8K衛星放送 放送設備等視察ツアー」を実施しました。新聞、雑誌、テレビ、ネットニュースなどの記者を募って、新4K8K衛星放送の認定放送事業者を視察するこのツアーは、5月に続いて2度目の開催となり41名の記者が参加しました。
今回は、放送開始を3週間後に控えて、各社とも準備に追われる中、ご協力いただいたBSテレ東と、QVCサテライトを視察しました。
最初に訪問したBSテレ東では、竹之内源市常務取締役の挨拶の後、4K番組の制作に対応している第2スタジオと副調整室を見学しました。2016年秋に六本木グランドタワーにある現在の本社に移転したテレビ東京(BSテレ東を含む)は、その際に4Kカメラ6式を導入済みで、既に4KカメラのHD出力を利用して番組制作を行ってきたというだけあって、副調整室のレイアウトは新たに増築して4Kに対応したという印象はありません。音声卓も、5.1chサラウンドのミキシングが可能なように設備されています。
次に見学したテレビマスターは、テレビ東京とBSテレ東のテレビマスターが左右シンメトリーに配置され、監視業務が効率的に行えるように配慮されています。4Kテレビマスターはこれに隣接して、透明のパーティションで20平方メートル程度に区切られた部屋にコンパクトに設備され、1人でオペレーションができるようになっています。
見学の後、ドラマ制作の森田昇プロデューサーは、4Kによるドラマ制作での発見や期待について次のように語りました。「撮影をLOG収録することにより、後で質感を変更できるので、表現の巾が広がった。被写体をとても細かく映すことができるし、不要なものを隠すこともできる。俳優のアップでは頬の動きまでわかってしまうし、拳銃が樹脂製のものであれば、それも見抜かれてしまう。微細な部分を演出できるところが、映画的だと感じていて、画の奥行き感がドラマの本質にもかかわるので、取り組み甲斐がある。」森田昇プロデューサーは、一般に4Kに向いていると言われている自然、紀行、スポーツ、グルメなどのジャンルだけでなく、ドラマやバラエティもまた4Kに適したジャンルであることをアピールしました。
午後はQVCサテライトを訪問し、4K QVCのスタジオ、ライブ・コントロール・ルーム(副調整室)、IP伝送システムや多重化装置が納められている機械室、マスター・コントロール・ルームを見学しました。スタジオでは、11台のロボットカメラが4K対応済みで、それらのコントロールは、ライブ・コントロール・ルームにいるオペレータが1人で行います。また、扱う商品によっては担当者が、ライブ・コントロール・ルームに座り迅速な対応をします。機械室の70本のラックのうち、半数は4Kに関連したもので、中心にIP伝送システムを据えて、必要に応じて一部をSDI変換しているとのことです。マスター・コントロール・ルームは、4K、2Kの番組送出を3交代で24時間、通常2名で監視しており、12月1日以降の2K番組は、4K番組をダウンコンバートしたものになるとのことです。
設備見学の後の質疑応答では、冒頭、QVCシャパンの塙 雄一郎社長より挨拶をいただきました。「『見つかるうれしさ、新次元』をキャッチコピーとし、4K放送に取り組みます。これはお客様に新次元の買物体験を提供するためです。2Kへのダウンコンバートでのサイマル放送など難しいところはありますが、4Kの画作りでは誰にも負けない存在になりたい」と力強く語られました。加えて、11月に4Kチューナー内蔵テレビの販売を扱ったところ、好評を得たとの報告があり、左旋は厳しいことを認識しているが、業界関係者がやるべきことの一環として、今後もテレビを販売していきたいとの発言がありました。更に、IP伝送システム、HDR/SDR変換、運用、データ放送、字幕など、多岐にわたる質疑応答が続きました。
以上で「新4K8K衛星放送 放送設備等視察ツアー」は終了となりました。