A-PAB主催による、「4K8K制作ワークショップ2019」が1月24日、25日の2日にわたり東京・八重洲で開催されました。この催しは一昨年の東京、昨年の大阪に続き3回目となりました。
ワークショップは講演と上映で構成され、A-PAB会員社とその紹介による事業者の制作や技術関係者を中心に2日間でおよそ180人が参加しました。4Kに関しては、地上波での方針は現時点では示されていないものの、制作能力のある各地の地上波局では4K制作や関連情報へのニーズが高いとの声に応えて今年も開催されました。
講演は6人の講師によって行われ、4K画質を生かすためのワークフローや機材に関する説明など、様々な視点から体験談や見解が語られました。
また、A-PABが実施した「4K8K放送番組奨励制度2018」で採択された7つの作品が上映され、各地域の地上波局による4K映像への取組みが示されました。
講演と上映のそれぞれのタイトルと概要は以下の通りです。
講演
「メ~テレ/8Kの取り組み(2018年Ver.)」
メ~テレは、2018年3月に8Kカメラを購入、以降月に約1度の頻度でコンテンツ制作やトライアルを実施中。
「成熟期を迎えた4Kコンテンツ制作機器」
高解像度+高色域+ハイダイナミックレンジを生かす制作ワークフローと4K制作機材全般について紹介。
「放送局・ケーブルテレビ局における4Kコンテンツ制作への取り組みとその効果~リモートオフィスでの制作や「4K徳島映画祭」を通じて~」
ケーブルテレビ局における4Kコンテンツ制作について「4K徳島映画祭」などを開催した立場・経験から報告。
「一般視聴者はこう感じた。新4K8K衛星放送についての印象と期待」
4K8K衛星放送についての一般視聴者が抱いているイメージや視聴後の印象をAVライターの鳥居一豊がレポート。
「4KHDRドラマ制作と今後の展望」
4KHDRドラマの制作過程における課題や魅力を振り返りながら、今後の4K8Kドラマへの展望を語る。
「『楽しい4K講座』4Kバラエティー番組制作について」
4K技術の活用と効果がテーマの『楽しい4K講座』から、4Kバラエティー番組の演出における効果検証結果を解説。
上映
『4Kで綴る 山寺のポストマン ~1015段の石段を登る~』(テレビユー山形)
“山寺”の名で親しまれる名刹・立石寺。そこに立つポストを担当する郵便局員を1年がかりで追いかけた4Kドキュメンタリー。
解説:齋藤 雅俊(株式会社テレビユー山形 取締役報道制作局長)
『おばあちゃんの台所』(テレビせとうち)
地域の産物を愛し、その良さを引き出す懐かしい「おばあちゃんの味」を未来へ伝える人気番組を4Kで制作。
解説:湯浅 敦士(テレビせとうち株式会社 編成局編成部)
『四国NNN系列共同制作「四国遍路 ~1400キロ巡礼の旅~ 」』(南海放送)
1400キロに及ぶ巡礼の道。四季折々の風景と、四国で息づく遍路の文化を、4Kの美しい映像でつづる。
解説:村上 浩二(南海放送株式会社 テレビ局テレビ業務部 部長)
『4Kドキュメンタリー 札幌交響楽団 アルプス交響曲』(北海道テレビ)
オーケストラの裏側に4Kで迫った音楽ドキュメンタリー。難曲「アルプス交響曲」に挑む札幌交響楽団に密着。
解説:濱中 貴満(北海道テレビ放送株式会社 報道情報局報道部 プロデューサー)
『相馬野馬追の伝承者たち』(福島中央テレビ)
一千有余年の歴史を誇る相馬野馬追。今年ようやく震災前の完全な姿を取り戻したその祭りを美しいHDR映像で伝える。
解説:鈴木 恒生(株式会社FCTテレビット ディレクター)
菅澤 大一郎(株式会社福島中央テレビ 制作部 部長)
『4K 空たび信州77 2018初夏』(信越放送)
自然豊かなふるさと・信州の風景をドローンによる空撮をメインに、時には地上に降りてぶらり散歩。初夏の信州を巡る。
解説:中村 龍太郎(信越放送株式会社 技術局技術部 主務)
『バンザイ!クセモンショー』(福島テレビ)
クセのある日本人をポケモンならぬ「クセモン」と呼び、外国人が紹介する海外番組のテイで日本人の良さを再確認するバラエティ。クセの強いB級昭和的日本文化遺産をオーバーリアクションでリポートするシュールな世界観を提示。
解説:藺草 英己(福島テレビ株式会社 放送本部制作局 制作部長)
参加者によるアンケートでは「ワークショップで4Kへの取組みを後押しすることは役に立つ」、「講師とだけでなく来場者と話せる場があった方が良い」、「4K8Kの機材・設備等の制作者向け勉強会を実施して欲しい」などの意見が聞かれました。