A-PAB 左旋試験放送を開始

放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、4月1日(土)より、日本で初めての衛星による「左旋試験放送」を開始しました。11時00分、東京都江東区東陽町にあるスカパー東京メディアセンターの送信用パラボラアンテナから衛星「JCSAT-110A」の左旋放送用中継器に向けて最初の電波が送られ、同じ施設で最初の4K映像が受信されると関係者から拍手がわき起こりました。

左旋試験放送の最初の映像に拍手をする(左から)スカパーJSAT高田社長、総務省情報流通行政局 南局長、A-PAB福田理事長

 左旋試験放送は、午前11時から午後5時まで1日6時間実施されます。内容は主にスカパーJSATから提供された番組をA-PABの編集基準に基づいて3時間のコンテンツにしたものを1日2回放送し、2018年12月の本放送開始前に終了する予定となっています。
 試験放送の目的は、本放送に向けた受信・送信システム、受信機の開発、試験、検証であり、一般の家庭で視聴することはできません。
 試験放送開始にあたり、衛星基幹放送事業者であるA-PABの福田理事長は次のように挨拶しました。

A-PAB 福田理事長

 「本日はありがとうございます。日本での左旋放送は今日の11時をもって試験放送が始まりますが、左旋としてはこれが初めてとなります。昨年、NHKさんとA-PABがBS右旋での4K試験放送を始めましたが、左旋というものがなぜ始まるのかというと、時代の要請によって、放送の高度化には欠かせないものだろうということであります。一時は新たな荒野と言われましたが、今では新天地というふうに言ってもいいのではないかと思います。そういう意味ではこれからどんどん普及をしていくことが望まれるところです。そのために試験放送においては、送信受信関係や受信機の問題を含めて検証をしていかなければなりません。
 いよいよ2018年には右旋も左旋も実用放送が始まりますけれども、それに備えるためにA-PABの方も一生懸命寄与すべく、BS、CS、右、左を問わず、全体が一層大輪を咲かせるように努力していきたいと思っております。これからもよろしくお願い申し上げます」

 次に、総務省の南情報流通行政局長は次のように述べました。

総務省 南情報流通行政局長

 「おはようございます。本日のCSでの左旋円偏波による4K試験放送は、日本初のものであります。これからエネルギー全開で、2020の東京オリンピックに向けて、とにかく良いコンテンツ、多彩なコンテンツをたくさん作りためていただいて、是非とも普及にご努力をいただきたいと思っております。
 国会では、電波法の審議も始まります。これから4K・8K、特に左旋の普及を考えていく上では、やはりブースターやアンテナの取り換え、宅内機器までを含めたIFの対策がどうしても必要になってくるだろうと思います。そのため電波利用料の使途の拡大をしてIFの受信環境対策に万全を尽くすための法改正を今お願いしているところです。
 最もよく聞かれる声は、今の4K対応テレビで見られますよねという視聴者の皆さんの誤解を解いて、皆が見たがるような普及活動をしっかりやってくれということです。ピクセラさんが低価格のセットトップボックスを開発してくださいました。是非量販店で映像を見られるよう置いていただけたら、試験放送もご覧になっていただけると思います。視聴者にアピールするのはやはり良いコンテンツしかないので、是非見たいと思わせるような体験をしていただけるような取り組みが必要だと思っています。A-PABさんのご協力もいただいて、放送事業者さん、量販店、メーカーさん一体となって、普及啓発を進めるための新しい協議会のご提案をさせていただいております。4K・8Kの良さを早く視聴者の皆さんに体験していただきたいと思っております。
 本日はありがとうございました」

最後に、試験放送の設備や放送素材を提供するスカパーJSATの高田社長は次のように述べました。

スカパーJSAT 高田社長

 「本日は、A-PABさんによる110度CS左旋を使った歴史的な試験放送が当社の東京メディアセンター設備を使って開始するということで大変光栄に存じております。ここ東陽町の設備はブラジルワールドカップ直前の2014年6月からNexTVフォーラムさんが実施した124/128 度衛星の4K試験放送も行いました。あれも世界初だと思っていますので、ここ東陽町は4K放送の聖地として、今度の取り組みにも重要な役割を果たしてまいります。また、わたくしどものグループ会社が左旋の8チャンネルの認定を頂戴いたしまして、本放送に向けてしっかり準備を進めてまいります。
 お知らせでございますが、本日4月1日から110度BS、CS、右・左旋、および124/128度が受かるアンテナを量販店さんの店頭で発売します。4K対応テレビがどんどん普及する中で受信環境の整備を先行してやることが大変重要だと思いますので、4K対応テレビを買われた方にはこのマルチアンテナをお勧めして取り付けも行い、本放送のスケジュールなどもお話しして、開始が近くになったら外付けのチューナーが出て、それを付ければ本放送がきちんと見られますということを量販店さんと連携してやってまいりたいと思います。
 ご関係の皆様、それぞれが大変重要な役割を担われます。わたくしどももしっかり頑張って放送の高度化に貢献してまいりたいと思いますので、今後とも、ご支援ご協力の程よろしくお願い致します」

尚、報道各社への左旋4K試験放送の説明会が4月6日に行われました。

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